卒業生のメッセージ|神田陽子さん(日本ピアノ調律・音楽学院 卒、日本ピアノ調律師協会会員)
調律師になる事。それは 「第2の人生」の目標でした。
ピアノは一度も習った事がなかった
私が調律師になる事を『第2の人生』の目標として目指したのが40歳も半ば近くの事。ピアノを習った事もなく、調律という本義も解らず、果たしてこの様な私が学べる場所などあり得るのかと落胆していた時、ふと何気なく目にした新聞に『ピアノ調律・個人指導・フリーコース』という文字に出会い、本学院においてレッスンを受ける事になりました。
私にとって総張力約20トンもあるピアノの存在は、繊細且つ巨大な怪物の様に感じられ、そのメカニズムや調律法を教われば教わる程不思議とのめり込んでいく様になり、先生方のご教示のお陰により、日本ピアノ調律師協会に入会する事も出来ました。現在はアシスタントとしてですが、非常勤で本学院全日制1年生の調律実技指導にも携わっており、またフリーチューナーとしても仕事を致しております。
始めの一歩を踏み出す勇気
協会に入会出来た事により、05年6月にはIAPBT(世界ピアノ製造技術師調律師協会)に加盟している世界からの調律師が集う総会(05年はアメリカのカンサス)に出席する事も出来、またNYスタインウェイ&サンズ工場、ハーバーヒルのメイソン&ハムリン工場、有名ピアノの再生・修理で名高いファウストハリソンピアノ工場、バークリー、ジュリアード音楽院、カーネギーコンサートホール、ヴィレッジ・ヴァンガード等々見学するチャンスに恵まれ、ピアノや音楽を心から愛する人にとってここに羅列しただけでもその重みは充分に伝わる事と思います。もしあの時、あの最初の一歩がなかったならば、今現在この現実は存在してはおりませんでした。
経験豊かな講師陣
この学院では、全日制、フリーコース共、非常に経験豊富な先生方が多く、技術的な面は然る事ながら今まで培われてこられた経験談なども気軽に聞かせて頂けました。
調律とはどの様なものなのか、もし少しでも惹かれたならばたとえ僅かな一歩でも、その扉を開いて身を置いてみると、今まで見る事が出来なかった何かがきっと見えて来る筈です。そしていつの間にか、より豊かな感性と洞察力、強靭な精神力が養われていくのに気付くことと思います。僣越ではありますが、小さく僅かなことに気付けるという事が、実は極めて重要な一歩に繋がり、堅固な土台を築き上げるうえで非常に大切な事であると確信し、今現在も調律師として恥じぬ様、一歩ずつ歩み続けている次第です。